こんばんは。
テレビ東京系の「開運!お宝鑑定団」で、ビートルズのデビュー当時のレコードが登場するとか。
デビューから約60年経った今でも、その影響力に驚きです。
そのビートルズといえば、デビュー当時はスーツにマッシュルームヘアというのが有名です。
今となってはスーツを着て演奏するミュージシャンも多く見慣れてしまった感がありますが、当時は珍しいファッションでした。
まして、当時はエルビス・プレスリーがヒーローでロックはリーゼントに革ジャンとジーンズというスタイルが主流で、リヴァプールで人気が出始めていた当時のビートルズもそうでした。
ビートルズがなぜスーツを着るようになったのか。
それは、簡単に言えば売れるための戦略でした。
というわけで今回はビートルズのデビュー当時の革ジャンからスーツへのチェンジがなぜ起きたのかというお話です。
ビートルズがスーツを着たのはなぜなの?

1960年12月にドイツのハンブルグのクラブでの武者修行を強制的に終わる形でリヴァプールに戻ってきたビートルズは、1961年の3月からキャバーンというクラブで演奏しはじめました。
音楽の才能は光る物があり人を引き付ける輝きを放っていました。
でも、ファッションに関しては当時のロッカーの典型である革ジャンにジーンズというありふれたスタイルで特に目立つものはありませんでした。
ステージ上のマナーも最悪でステージに上がる時間も下りる時間もルーズで観客に悪態をつき、瓶入りのコーラを演奏中に側に置いて飲んだりサンドイッチを食べたり、タバコを吸ったりと自由にやりたいようにやっているような秩序のないグループでした。
そこへビートルズのレコードの噂を聞いて足を運んだブライアン・エプスタインという人物との出会いがビートルズの起爆剤となり、スーツへとつながるんです。
マネージャーとの出会いがきっかけ
ブライアン・エプスタインはリヴァプールにある父親の経営するNEMSというお店のレコード部を経営していました。
そこへレコードを探しにきた若者がビートルズの「マイボニー」はあるかと聞いてきたのが始まりでした。
それからブライアンがキャバーンに足を運び、ビートルズの魅力に引き込まれマネジメントのアイデアが沸いたことがきっかけでした。
ビートルズはキャバーンでは人気者になっていたのですが、あくまでもイギリスの港町リヴァプールの人気バンドでしかなかったのです。
ブライアンはビートルズがロンドンへ出て広い世界で活躍するためマネージャーの必要性を説き、ビートルズは音楽に関しては口出ししない約束を取り付けてブライアンとの間にマネジメントの契約を交わします。
そこで、悪いマナーの改善を第一に説き、時間も最高でも1時間のまとまったステージにし曲のレパートリーも決めるように要求しました。
ビートルズはスーツに反対だった?
ビートルズのクリーンなイメージを浸透させるために次に出した提案が「スーツ」だったのです。
革ジャンにジーンズという野生的なスタイルは当時の革新的な若者にはうけましたが、ブライアンの目はもっと一般的な大衆に向けられていました。
英国の大衆を惹きつけるためにはスーツを着た整った身だしなみが必要だと説得したのです。
ポールはすんなりと受け入れましたが、ジョンとジョージはなかなか納得しませんでした。
ジョンはささやかな反抗をしてネクタイを斜めにして第一ボタンを外していたのですが、ポールがいつもそれを直していました。
このスーツ論争はメンバーの意見が大きく分かれた最初の機会かもしれません。
結果はご存知の通りなので結果論でやってよかったと大筋では思っていますが、ジョンは後日談で、あれは本当の自分では無かったと、あくまでも自分が前向きでなかったことをコメントしています。
スーツを着たミュージシャンの前例はあった?

スーツをミュージシャンのファッションとして定着させたのは、ビートルズだと言われていますが、それ以前にはスーツを着ていたバンドはいなかったのでしょうか?
実はブライアンにはモデルにしたグループがあったのです。
それが1950年代より活動していた「シャドウズ」というバンドでした。
シャドウズは英国ミュージシャンのパイオニアだった
ブライアンはビートルズを説得する時にこの「シャドウズ」の成功をモデルとしてビートルズがスーツを着るように説得しています。
シャドウズは英国の歌の無い演奏のみのバンドでしたが1960年に連続してヒットチャートを賑わす成功を収めていました。
シャドウズは2015年まで活動をするような息の長いグループでしたが、スーツをきっかけとするクリーンなイメージが定着して広いファン層を獲得した結果がこの様な息の長いグループ活動につながったのですね。
ビートルズは衣装と引き換えに音楽を守った
ビートルズのジョンやジョージは気が進まないながらも、ブライアンの熱意に押される形でスーツを身にまとい演奏に磨きをかけていったのです。
とにかく売れるためには手段を選ばず、ブライアンの提案も受け入れてきましたが、一つだけ「音楽」に関してはブライアンに口をはさむ猶予を与えませんでした。
ブライアンはビートルズの音楽的才能と人柄にほれ込んでビートルズと組もうとし、プライベートに関しても献身的にメンバーの世話をしました。
ブライアンの活躍でビートルズは飛躍的に人気を獲得し世界に名だたるトップバンドとなったのですが、ブライアンが32歳の若さで亡くなった後はビートルズの中に混乱が起こりました。
スーツを着る姿はブライアンの死後は見られません。
この時期はビートルズの人気は定着しており、ファッションで人を惹きつける必要は無くなっていたとも言えます。
ビートルズがスーツを着たのはなぜ?:まとめ

ビートルズがデビューする前後の話でしたが、ブライアン・エプスタインの提案によってスーツのビートルズが誕生したわけですね。
駆け出しのビートルズはこのイメージ戦略にによって幅広い層のファンの獲得に成功しました。
結果を知っている私たちはこのスーツを着たビートルズに「なぜ」と問うことはないかもしれませんが、当時はメンバー間で葛藤がありました。
それでも、売れるための手段としてブライアンを信じ、夢中で世界のスターダムにのし上がって行ったビートルズの功績は今更口をはさむ余地はありません。
メンバーも既にジョンとジョージは亡くなっており、60年代の熱狂は程遠い記憶となっていますが、時々こうしてテレビで取り上げられるビートルズはやはり永遠に語り継がれる歴史ですね。
以上、ビートルズがスーツを着たのはなぜ?というお話でした。