こんにちは。
突然ですが、今から60年程前に世界中を夢中にしたロックバンドのビートルズの中で誰が一番好きですか?
と聞かれたら何と答えますか?
一番多い答えは、やはりジョン・レノンとポール・マッカートニーでしょう。
楽曲の多さ、ヒット曲の数で言えばこれは当然かもしれません。
では、ビートルズの中で誰と友だちになりたいですか?
と聞かれたらどうでしょう?
これは、恐らくジョージ・ハリスンかリンゴ・スターではないでしょうか?
事実、ジョージ・ハリスンは友人が非常に多くソロになった後もそうですが、ビートルズの時代からエリック・クラプトンやボブ・ディランなどの同世代に人気だったアーティストと交友関係があり、楽曲の演奏に参加してもらったり、楽曲を提供してもらったりしていました。
この様な人を惹きつけるジョージ・ハリスンがビートルズの解散後にすぐにリリースしたのがおすすめのアルバム「オールシングスマストパス(ALL THINGS MUST PASS)」です。
このアルバムは1970年11月27日に発売され、当時レコード3枚組というボリュームで発売されます。
その後、2001年、2021年とデジタルリマスターが施され再販されています。
今回はジョージ・ハリスンの伝説のソロアルバムとなった「オールシングスマストパス」について、なぜおすすめかつ聞いていて心地よいのかそのワケを探ってみます。
ジョージ・ハリスンのおすすめのアルバムがオールシンングスマストパスなのはなぜ?

ビートルズは1970年4月にポールの脱退の表明によって実質的解散となりました。
ジョージはビートルズにいる間にも作っていた曲も含め、1970年11月27日にオールシングスマストパスをリリースします。
このアルバムはアメリカのビルボード誌で7週連続で1位を記録し、イギリスでは8週連続で1位を記録するビッグヒットとなりました。
このアルバムに収録されている「マイ・スイート・ロード」も同じく全米・全英ともに1位に輝く大ヒットを記録し、ジョージの代表作となります。
誰もがビートルズの中でソロのヒットを飛ばすのはジョンかポールだと思っていました。
この予想をくつがえすこととなり、世界に驚きを与えたことでオールシングスマストパスは伝説のアルバムとなりました。
オールシングスマストパスが心地よいワケ
このアルバム全体に流れているのは穏やかな時間です。
アルバムタイトルにもなっている「オールシングスマストパス」という曲はビートルズとして活動している期間に作ったものでしたが、ビートルズの曲としてアルバムに収録されることはありませんでした。
曲中には「この灰色の日々もいつかは終わる 全ては移り変わっていく」
と歌われており、ビートルズの中の争いの中で感じた苦痛からもいつかは開放されると歌っているようにも思えます。
ビートルズの中ではジョンとポールというあまりに強烈な個性を持った2人の中でアルバム中2曲までしかジョージの曲を披露するスペースはありませんでした。
これも、もしかするとジョージにとっては灰色の日々だったのかもしれません。
その様な時間も含めていつかは過ぎ去るという、普遍的な時間の流れをジョージは歌っています。
そして、ジョージの持つ穏やかで優しい声は叫ぶでもなく、狭い音域の中で強い主張をすることなく楽器と共鳴して歌っています。
もしかすると、刺激を求める方には物足りなく感じるかもしれませんが、ジョージの穏やかな人柄がアルバム全体を覆っている感じがして心地が良いです。
ビートルズ時代から温めたアイデアが爆発したアルバム
ビートルズで活動している時に作った曲は「オールシンングスマストパス」に限らず、アルバム中のほとんどの曲がビートルズの時に作られた曲でした。
そしてジョージの中で世に出す機会を伺っていたことになります。
そんな、地球の中のマグマの様に地上へ飛び出すエネルギーをためにためて、ビートルズの活動が終わり、制限を取り払われた状態で飛び出してきた曲たちです。
穏やかな中にもエネルギーがあふれた曲となるのは当然だったのかもしれません。
1970年の当時のファンにしてみれば、あの寡黙でビートルズの時はアルバム中、2曲しか歌わなかったジョージが、いきなりこんなにたくさんの曲をリリースしてきたら聴きたくなるのは当然のことでしょう。
発売50周年の記念盤がリリースされたアルバム
オールシングスマストパスはまさにジョージの代表作となったアルバムで、ジョージも手直しを加えながら時代とともに少しずつ変化という成長を望んでいるアルバムなのでしょう。
2001年に亡くなる直前に一度リマスターを自らの手で仕上げています。
そして、2021年にも今度は息子のダーニ・ハリスンが中心となって再度リミックスし50周年記念盤としてクリアで洗練されたサウンドとなって再生されています。
2021年はジョージが亡くなって20年という節目の年にも当たり注目の集まる年でした。
アルバム中の曲「マイ・スイート・ロード」もMVで2021年にリメイク
50周年記念盤としてアルバムがリメイクされるのに合わせて、アルバム中の代表曲の一つでもある「マイ・スイート・ロード」のミュージックビデオが豪華キャスト出演のもと作成されました。
いきなり、スターウォーズでおなじみのマーク・ハミルが出てきてびっくりでした。

リンゴも出てきましたが年齢は80歳を超えているはずなのに若さにびっくり。

ジョージ没後20周年を皆で盛り上げています。
ジョージハリスンの魅力

ジョージのミュージシャンとしての魅力は何と言っても優しく、音域の狭い声でしょう。
これはジョンの様に個性的で攻撃的なハスキーボイスでもなく、ポールの様に女性の音域に似た高い声や広い音域を駆け回る歌い方でもない、ジョージ独特の声、歌い方です。
そして優しいメロディーで、ジョージの曲はジョージが歌うのが一番しっくりきます。
あくなき探究心でインド音楽も取り入れる
歌と忘れてはいけないのはギタリストとしてのジョージ・ハリスンです。
ビートルズの時から探究心を持って新しくインドの楽器シタールを取り入れたのはジョージでした。
テクニックはもちろんですが、一つのところにとどまらず色々な試みを曲中に持ってくることでビートルズの中ではサウンドリーダー的なところがありました。
ビートルズ中期以降で登場するスライドギターは聞き応えがあり、奏法を確立したので他のミュージシャンからスライドギターでゲスト参加してほしいと依頼が来るほどでした。
平和な家庭で育ったバランスのとれた人間性
ジョージと仕事をした人は皆ジョージとまた仕事をしたくなると言います。
口数は少ないですが人に安らぎを与えるような人懐っこさと温かさを持った人だったと聞きます。
これはジョンやポールが早くに両親がいるという当たり前の日常を奪われる形で心に傷を負うことで、望まずして身についてしまった攻撃性により人から距離を置かれる存在だったことと全く対照的なことです。
列車乗りの父親と敬虔なカトリック教徒の母の間で3人兄弟の末っ子として生まれたジョージは末っ子ということもあり、家族からの愛情をたっぷり受けて育ちました。
ビートルズの公演をお母さんはよく観に来てくれ、ジョージ宛のファンレターの返事を代わりに書くような気さくで愛情深い母親でした。
そんな、家庭で育った普通の子が周囲に対する信頼を持って接すればたいがいの人は安心して気を許すことができますよね。
ジョージ・ハリスンのソロアルバムのオールシングスマストパスがおすすめなワケ:まとめ

今回ジョージ・ハリスンのおすすめアルバム「オールシングスマストパス」のおすすめのわけを書いてきました。
ビートルズ解散前にビートルズで発表するつもりで書き溜めた曲が結局、ビートルズで発表されることなく眠っていました。
それを発表したいというエネルギッシュな思いが詰まった3枚組みのレコードでした。
ビートルズでは寡黙で通っていたジョージが、一度にこんなに歌い、ギターを弾きまくるのです。
楽しくないはずがありません。
ギターはCD2枚目後半のインストゥルメンタルの楽曲のセッション録音の中にテクニックと楽しさが伝わってきます。
聞いている中にジョージの大きな愛を感じますよ。
というわけで、今回はジョージ・ハリスンのアルバム「オールシングスマストパス」がおすすめなわけについてお話ししました。