こんにちは。
鎌倉殿の13人に完全に入り込んでいます。
第4話「矢のゆくえ」の最期の佐々木経高が矢を放ったシーンは吾妻鏡という歴史書を脚本として三谷監督が描いたシーンでした。
三谷監督は「鎌倉殿~」は「吾妻鏡」を脚本として作っていると言っています。
その言葉通り第4話には吾妻鏡に書かれているシーンが何箇所も登場します。
今回は鎌倉殿の13人の脚本としてとりあげられた吾妻鏡について第4話のシーンと重ねてお話します。
鎌倉殿の13人の脚本は吾妻鏡

三谷監督が脚本として使っている吾妻鏡ですが、作成された時期や作者については、不明点が多い書物です。
公式な歴史書というよりも私的な文書と言う位置付けで、その信憑性に関してもあまり高くはないと言われていますが、現在の私たちの源頼朝の人物像はこの吾妻鏡を元に刷り込まれています。
この書物全体に流れる雰囲気は源氏に厳しく、北条家に甘い論調でした。
頼朝の後の源氏の2代目将軍の源頼家は蹴鞠や女性を人から奪いとるような人で、政治を顧みない人であったと書かれています。
続く3代目将軍実朝に関しては「金塊和歌集」を編纂した有名な歌人として知られていますが、和歌に熱中しすぎる公家よりの人物で武人ではないとの評価をくだしています。
吾妻鏡の名前の由来やあらすじは?
吾妻鏡は東鑑とも書きます。
東の字の通り、平安時代の京都から見た日本の東部地方のことを指す言葉が吾妻です。
日本の東部の歴史を北条よりの目線で描いた歴史書です。
鎌倉幕府の頼朝から始まる6代目までの将軍ごとに分けられて編纂されています。
ところどころ記載が抜けている年代がありますが、意図的なのか紛失してしまったのかは不明です。
鎌倉幕府の武将の戦しか記述されておらず、幕府の歴史の記述だけに注力して編纂されました。
徳川家康が愛読し、知名度が上がった書物です。
現在は単行本としても出版されていて読むことができます。
信憑性は高くないですが当時の時代背景を知るのは貴重な資料ですね。
この吉川弘文館の吾妻鏡は全16巻+別巻1冊というけっこうなボリュームです。
頼朝の挙兵に関する話はこの1巻に書かれています。
本は苦手な方にはわかりやすい中公文庫の漫画本もあります。
上・中・下巻の全3巻でこちらの方が入門としては手軽ですね。
第4話で登場するシーンはこちら
NHKの特集ページで吾妻鏡を元に描いた印象的なシーンがアップされています。
こちらから見てみてください。
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/special/history/azumakagami004.html
土肥実平や岡崎義実たちに声をかけるシーンでは頼朝の役者ぶりがわかります。
個人的に許せないのは山内首藤経俊が第2話で頼朝に「挙兵する時は声をかけて」とか言ってたと思うのですが、いざ声をかけるとさんざん悪口を言って相手にしなかったところです。
印象的なのは佐々木経高の矢をはなつシーンですね。
「佐々木経高が放った1本の矢。これを機に4年7ヶ月に及ぶ源平合戦が始まった」と長澤さんの語りが入る印象的なエンディングでした。
吾妻鏡がつくった冷血な頼朝のイメージ

歴史で学ぶ源頼朝のイメージって、多くの軍功をあげ平家を滅亡に追い込んだ弟を殺す冷血な兄っていうものだと思います。
このイメージは吾妻鏡の記載からきています。
頼朝を演じる大泉洋さんも「これからどんどん頼朝が冷酷な決断をくだすようになっていくので辛い」
と語っている通り、吾妻鏡を脚本とした本作は冷血な頼朝を描いていくのでしょう。
義経のことを悪く頼朝に吹き込む梶原景時という武将のことがこの吾妻鏡には記載されていて、この梶原景時が悪い家臣だったということで頼朝のイメージを間接的に悪くしています。
この後の2代目将軍・源頼家や3代目将軍・源実朝のことは直接批判的なことを書いていますが、幕府の創始者の頼朝に対しては直接的な批判は書かれていません。
ところが梶原景時のことを低く評価することで暗に頼朝の評価を下げているのです。
鎌倉幕府は源氏の手を離れた歴史のほうが長かった
源頼朝が1192年に鎌倉幕府を作りますが、頼朝はその7年後に亡くなり当時18歳の頼家に家督が引き継がれます。
まだ若かった頼家をサポートするという名目で北条家が合議制の仕組みを作り頼家の独断で物事を決めることができないようにして政治の実権は北条氏が握り始めます。
そして、頼家は1204年に暗殺され、3代目将軍・実朝が就任しますが1219年に殺害されました。
そこから鎌倉幕府は100年以上先の1333年まで続きます。
そうです。
源氏はたったの30年弱しか続かなかったのです。
こうしてみると源氏って義経だけに限らず悲劇的な一族ですね。
鎌倉殿の13人の脚本は吾妻鏡:まとめ

鎌倉殿の13人の第4話で描かれたシーンは頼朝の挙兵でした。
1本の矢が放たれて源平合戦が始まりますが、これは吾妻鏡という歴史書を脚本として物語がつくられています。
吾妻鏡で語られている印象的なシーンがこのドラマでは何箇所か再現されています。
この吾妻鏡の信憑性はあまり高くはないようですが、現在の源頼朝の冷血な人物像を印象付けたのはこの吾妻鏡です。
吾妻鏡は源氏のイメージを悪くするように編纂されているものですが、歴史書はその時代に権力を握った人物に有利になるように編纂されることはよくあることです。
もし、違った視点で書かれた歴史書が見つかれば頼朝のイメージはもう少し変わっていたように思います。
一つ、徳川家康が愛読したという事実がこの歴史書の評価を高めています。
三谷監督が脚本と公言している吾妻鏡。
先の展開を知るには読んでおくと面白そうです。
余談ですがシリアスな展開が続く中で後白河法皇の夢枕が3話に続き、登場です。
冷血な頼朝が持つ弱みや人間性が表現されていてイメージアップにつながるのではないでしょうか。
この作品で頼朝のイメージが上がったら素晴らしいですね。
今回は鎌倉殿の13人の脚本は吾妻鏡というお話でした。